【フィル・カンパニー】空中店舗「フィル・パーク」の認知度向上へのスピードに期待

企業分析

今回は、空中店舗「フィル・パーク」を展開するフィル・カンパニーを分析してみたいと思います。

「空中店舗」という言葉は、見ただけで興味を惹かれる上手い命名ですね。

私も「空中店舗?お店が宙に浮いてる?エンターテイメント業界の会社?」といった素朴な疑問からフィル・カンパニーを知りました。

空中店舗というのは、コインパーキングなどの駐車場の上にある空いた空間を活用して、駐車場以外の収入を得られるビジネスモデルです。

投資家の間でも、その事業の独自性から話題になることも多い企業のようです。

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フィル・カンパニーの事業内容

フィル・カンパニーの事業内容は、コインパーキングなどの駐車場の上部にある空間を活用した『空中店舗フィル・パーク』の展開です。

駐車場には大きく分けて平面駐車場と立体駐車場の2種類があります。

【平面駐車場】

【立体駐車場】

このうち平面駐車場の上に存在する空間を利用して、店舗や事務所が入居可能な「空中店舗」を建設し、その建物を駐車場オーナーが店舗や事務所として賃貸できるというビジネスモデルです。

請負受注スキームと開発販売スキーム

空中店舗フィル・パークのビジネスモデルには2つのスキーム(戦略)があります。

請負受注スキーム

一つは請負受注スキームで、すでにコインパーキングなどの駐車場を運営しているオーナーに対してフィル・カンパニーが企画・建設・テナント誘致等を請け負うものです。

オーナーにとっては駐車場からの収入を大きく減らすことなく、空中店舗に入居しているテナントからの賃料収入を得られるというメリットがあります。

駐車場上部の空間に建物を建設するわけですので駐車場の一部を削って支柱等を設置する必要がありますが、フィル・カンパニーでは現在の駐車スペースを極力減らさない設計を採用しているようです。

空中店舗を建設するための初期投資はオーナー負担となりますが、テナントからの賃料収入で回収が可能です。実績で表面利回りが20%ほどということですので、一般的な不動産投資に比べても利回りの大きさが魅力といえそうです。

一方、フィル・カンパニーにとっても複数の収益源の確保が可能になります。

フィル・カンパニーは、100%連結子会社であるフィル・コンストラクションと共同で空中店舗の企画やデザイン・設計・施工をおこない建物をオーナーに販売するため、建設事業としての利益の確保ができます。

また、テナント誘致・プロジェクトマネジメントなどの業務を代行する業務委託収入も発生します。

そのほか、建物の管理にともなう建物管理収入が定期的に発生します。

開発販売スキーム

もう一つは、土地の購入から空中店舗の開発・販売までを一貫しておこなう開発販売スキームです。

すでに駐車場を経営しているオーナーではなく、これから駐車場収入と賃貸収入を得たいと考えている不動産投資家に向けたサービスです。

請負受注スキームだけではなく、開発販売スキームへのニーズもあるようで、両者を取り込むことで業績を向上させています。

市場の成長性

2017年11月現在、フィル・カンパニーが展開する空中店舗は、建築中のプロジェクトも含むと全国に123ヶ所あります。

また、2017年度有価証券報告書にも記載がありますが、一般社団法人パーキングビジネス協会の調査によると全国にコインパーキングは6万ヶ所存在しており、現在のフィル・グループのシェアはコインパーキングに限っても0.2%程度です。

現在は同事業をおこなっている競合も存在しないようですので、シェア拡大の余地はまだまだあると言えそうです。

フィル・カンパニーの成長戦略

フィル・カンパニーの決算資料から、今後の経営戦略として次のような内容が読み取れます。

  • 認知度・ブランド力と信用力の向上
  • 質が高く効率の良い営業活動
  • 優秀な人材の確保

フィル・カンパニーの現在の主な成長戦略は「認知度の向上」のようです。

2017年には日本郵政グループ・いちごグループが資本参加していますので、両社との業務提携で認知度や信用力の向上が期待できます。

郵政グループとの連携では「郵便局の窓口での地主に対するフィル・パークの周知」や「郵政グループ所有の遊休土地の活用」などを想定。

いちごグループとの連携では「セルフストレージ物件としてのフィル・パーク」「収益不動産事業としてのフィル・パーク」を想定しています。

なお、いちごグループはアセットマネジメントを主な事業として展開する東証一部上場企業です。

収益不動産事業としてのフィル・パークは、開発販売スキームの導入ですでに実現できているようにも思いますが、別のスキームを想定しているのかもしれません。

そのほか、東急電鉄と連携した空中保育園の設置や、株式会社ママスクエアと連携した託児所付きワーキングスペースの展開もおこなっています。

また、営業活動として現在おこなっている集客方法には、次の2つが挙げられています。

  • Webマーケティングを活用した顧客からの直接問い合わせ
  • 金融機関や税理士などの信用力の高いパートナーからの紹介

Webマーケティングは、ソウルドアウトの企業分析でも触れましたが、リスティング広告と呼ばれる検索連動型広告をメインとした集客のようです。

金融機関や税理士からの紹介は、信用力の低い顧客への営業活動を避け、信用力の高いオーナーや投資家を紹介してもらうことで営業活動の効率化を図るということでしょう。

決算説明会資料の問い合わせ件数の推移からも、認知度・信用力の向上が業績向上の鍵であることがうかがえます。

独自性の強いビジネスモデルですので、認知度が向上すればどこかの時点で爆発的に成長する可能性もあります。

「優秀な人材の確保」については、案件選別力・営業クロージング力に長けた営業人員の採用強化に触れられています。

今後の営業人員の採用強化によって、これら2つの集客方法以外でも、より認知度向上につながる施策が可能になることも考えられます。

ただ、既存の駐車場オーナーに対する明確な営業戦略がない点を考えると、今後は請負受注スキームよりも開発販売スキームに力を入れていく可能性もあるのではないかと思います。

SBIマネープラザと連携した、空中店舗フィル・パークを投資対象とする不動産小口信託受益権ファンドの構築といった取り組みもその一環なのかもしれません。

事業のリスク

有価証券報告書にはいくつかの事業リスクが記載されていますが、業績に大きな影響を与える可能性のあるリスクとして以下の3つが考えられるのではないでしょうか。

  • 不動産市況の下落
  • 法規制・許認可によるリスク
  • 競合の出現

空中店舗は店舗や事務所が入居する不動産ですので、住居用不動産に比べて景気の影響を受けやすい傾向があるようです。そのため景気の動向によっては駐車場オーナーが賃貸建物の建設を控える可能性があります。

また、現在は「建築業法」「建築基準法」等の法令の定める規制に沿って展開していますが、今後の法改正等によっては新たに義務や費用が発生する可能性があることも触れられています。

有価証券報告書の中で

「ありそうでなかった」には理由があり「言うは易し行うは難し」であったアイデア

という記述があります。

これが意味するところは明確にされていませんが、法規制の問題も含まれるのではないでしょうか。

しかし、現行の規制の中ですでに100ヶ所以上展開しているわけですので、今後規制によって何かしら義務やコストの負担が発生することはあっても空中店舗の設置そのものが規制されることは考えづらく、さほど問題にはならないかもしれません。

競合については、現在は類似の事業をおこなう競合他社は存在しないようです。今後ハウスメーカーや駐車場運営会社等が類似した事業を展開することで、競争が激化する可能性にも触れられています。

現状の認知度を考えると、一定規模の競合の存在があったほうが市場としても活性化するのかもしれません。

株価指標/経営指標

PER(会社予想): (連) 92.07倍
PBR(実績): (連) 18.63倍
ROE(実績): 20.2%

簡易財務分析

BS(貸借対照表)

出典:GMOクリック証券

2年連続で株主資本が大きく増加しています。主に大手企業との業務提携(資本参加)による増資です。

2017年度は有利子負債の比率も増加していますが、営業キャッシュ・フローがマイナスですので、それを見越しての借り入れなのかもしれません。

また、2017年度は棚卸し資産として開発販売スキームのものと思われる販売用不動産が40億円ほど計上されていますが、2018年度第1四半期にはすでに20億円ほどの販売が完了していますので、回転率もそれほど悪くなさそうです。

PL(損益計算書)

出典:GMOクリック証券

売上高・営業利益・純利益すべて4年連続で成長しています。

CF(キャシュフロー計算書)

出典:GMOクリック証券

2017年度は営業キャッシュ・フローがマイナスになっています。理由はBSでも触れましたが、販売用不動産の増加です。

請負受注スキームの場合には入金が先になりますが、開発販売スキームの場合は開発後の販売ではないかと思いますので、今後開発販売スキームの割合が大きくなることがあれば、キャッシュフローの動きには注意が必要になります。

財務キャッシュ・フローのプラスについては、郵政グループといちごグループの資本参加による増資と、借入金の増加です。

所感

フィル・カンパニーは独自性の強いビジネスモデルやその実績、市場の伸びしろという点で非常に魅力的な投資対象のように感じます。

ただ、営業戦略が「積極的な業務連携による認知度や信頼性の向上」というだけでは、少し弱いのではないかという気もします。

もちろん現状でも売上・利益ともに成長していますので魅力的であることに変わりはないのですが、やはりどこかで大きく需要が伸びるきっかけがないと成長も鈍化してしまうのではないでしょうか。

所感としましては、フィル・カンパニーは、ビジネスモデルのわかりやすさと市場の伸びしろが大きいという点で十分に投資を検討できる銘柄のように思いますが、あと一歩認知度向上のための具体的な戦略が明確になると安心かなという気がします。

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