【総医研ホールディングス】健康補助食品事業と化粧品事業の引き続きの成長に期待

企業分析

今回は、総医研ホールディングスを取り上げてみたいと思います。

総医研ホールディングスは、着実に毎年売上高を成長させている銘柄です。

利益面では2015年に赤字に転落していますが、引き続き売上高が伸びていることや、その後の利益が回復していることから、今後の成長性について考察してみました。

総医研ホールディングスの決算は6月ですので、あと数ヶ月待てば当期の決算資料も公開されますが、今回の記事では主に前期の決算資料を参考にしています。

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総医研ホールディングスの事業内容

総医研ホールディングスは子会社6社及び関連会社1社により構成されています。

また、子会社により次の6つの事業が展開されています。

① 生体評価システム事業

  • 大学の研究成果を導入することによる、バイオマーカー(身体や病気の状態を客観的かつ定量的に評価するための指標)とそれを利用した生体評価システムの研究開発
  • 従来は適正な評価方法が存在しなかったために有効な食品や医薬品等の開発が不可能であった病態や疾病等に関して、新たな食薬等の市場を開拓したり、医療用医薬品等の科学的エビデンスの構築を目的として行われる医師主導型の臨床研究及び疫学研究を支援したりする事業

② ヘルスケアサポート事業

  • グループの有する医療機関ネットワークを活用し、各種健康診断や特定保健指導に関する業務受託、主に被扶養者を対象とする特定健康診査の受診勧奨サポート、糖尿病の重症化予防サービス等、健康保険組合等が行う疾病予防及び健康管理への取り組みを支援する事業

③ 化粧品事業

  • プラセンタエキスを用いた「プラセンタ研究所」シリーズ等の独自商品ブランドを展開
  • 通信販売による直販に加えて有名百貨店等への卸売りをおこなう

④ マーケティング事業

  • 健康補助食品等のマーケティングリサーチや一般社団法人大阪府内科医会および神奈川県保険医協会等との提携による健康補助食品等の市販後調査等の事業
  • フィンランドの大手飲料メーカーから導入したエナジードリンク「BATTERY」の販売

⑤ 健康補助食品事業

  • バイオマーカー技術、食薬開発にかかるノウハウや経験等を活かした独自性ある健康補助食品の販売
  • 疲労プロジェクトから生まれた製品である「イミダペプチド」が主力商品

⑥ 機能性素材開発事業

  • ラクトフェリンをはじめとする機能性素材の開発、販売及び技術供与並びにアスコクロリン誘導体等の化合物をシーズとする医薬品開発等
総医研ホールディングスの事業系統図

各セグメントの業績

下記は2017年6月期の各セグメントの業績です。

化粧品事業・健康補助食品事業が全体の80%以上を占めていることがわかります

別事業の業績が伸びることも考えられますが、この2事業の成長が総医研ホールディングス全体の成長にもつながると考えられます。

2017年6月の決算説明会資料では、次のようにあります。

健康補助食品事業については、国内通販の拡大余地が大きいことから、グループ全体の業績目標に配慮しながら引き続き積極的な広告宣伝活動を行う方針。
定期購入顧客数が、次期の期初時点では約21,000人となっており、当期の期初時点対比で34%増加していること等から、増収傾向が続く見込み

収益モデルが定期購入という点が素晴らしいですね。

健康食品の定期購入は、顧客が毎月または一定期間毎に代金を支払うことで、商品をその期間ごとに送付する仕組みです。

そのため、顧客が解約しない限りは、顧客の増加に比例して売上も伸長するストック型の収入といえます。

また、化粧品事業については、次のようにあります。

化粧品事業については、中国の越境ECや東南アジア等の海外市場向け販売が堅調であり、上海の化粧品会社BeautyPlus社との共同開発商品「GLOBAL LABELシリーズ」の中国市場での実店舗販売の開始もあり、増収の見込み

化粧品は、中国や東南アジアといった海外市場が寄与しているようです。

中国の越境EC市場についても成長が見込めそうです。

化粧品事業も、市場の拡大とともに業績が向上する可能性が高いと考えて良いのではないでしょうか。

また、2018年6月期の通期業績予想では、健康補助食品事業・化粧品事業ともに増収予想となっています。

2月には業績の上方修正も出ており、2018年6月期の増収増益は確実なようです。

疲労プロジェクト

総医研ホールディングスは、「疲労プロジェクト」という産官学連携プロジェクトを推進しています。

疲労プロジェクトは、疲労のバイオマーカー(指標)を見つけることで疲労の特徴と強さを数値化・定量化し、最終的に効果のある抗疲労医薬やトクホを提供することを目的としたものです。

すでに疲労プロジェクトから生まれた「イミダペプチド」という商品が開発・販売されており、複数の抗疲労トクホの申請もおこなっています。

総医研ホールディングスの経営戦略

総医研ホールディングスの経営戦略と考えられる項目を挙げてみました。

① 疲労プロジェクトの推進

  • 上述の疲労プロジェクトの推進

② 大学との関係

  • 大学との関係を一層強化
  • 大学の研究成果を導入して事業展開を行ってきたという実績をアピール
  • 大学への働きかけ

少し曖昧な表現ですが、引き続き大学と連携し、その研究成果を商品開発に活用するということだと考えられます。

③ 知的財産権への対応

  • 研究開発の成果として生ずる成分や製品等について、大学研究者等との共同または総医研グループ単独にて特許権その他の知的財産権を取得
  • 一定の対価を支払う代わりにその特許を受ける権利の一部を譲り受け、発明者と共同で特許を出願する
  • 疲労プロジェクト等において有用な知見が得られることが期待されることもあり、引き続き知的財産権を戦略的に取得または活用する

④ 人材の確保及び組織的対応の強化

  • 医学、薬学等の分野での専門性の高い人材の確保が不可欠
  • 積極的に優秀な人材の採用等を進める
  • ストックオプション等による適切なインセンティブの付与等により、社員の意識向上と組織の活性化を図るとともに、優秀な人材の定着を図る方針

⑤ 医療機関ネットワークの拡充及び整備

  • 医療機関とのネットワークが重要な事業基盤
  • 医療機関ネットワークのさらなる拡充
  • 医療機関ネットワークを効率的に運用するためのインフラの整備

そのほか、以下の3点にも触れられています。

  • 健康補助食品事業等の自社製品の開発及び販売
  • マーケティング事業や医薬臨床研究支援事業等のエビデンス構築
  • マーケティング支援等の事業への事業構造の変革

今後も自社製品の開発・販売をおこなっていくことには触れられていますが、戦略としては具体性があまり感じられない内容です。

経営そのものは子会社がおこなっているわけですので、公平性の観点等からそこでまでの開示は不要なのかもしれませんが、化粧品事業・健康補助食品事業という二大収益源をどのように拡大していくのかといった戦略が知りたいところではあります。

しかしながら、健康補助食品事業のユーザー数増加によるストック収入の増加と新規商品開発の可能性や、化粧品事業のアジアにおける越境ECの展開という面では成長性は十分に考えられるようにも思います。

特許取得による競合優位性が図れる点も強みですね。

事業リスク

有価証券報告書から、業績に大きく影響をおよぼす可能性のあるリスク、重要と思われるリスクには次のようなものがあるのではないでしょうか。

① トクホ

  • トクホは、生体評価システム事業における主要な対象領域
  • 健康補助食品事業において抗疲労トクホの許可取得を目指している
  • トクホ市場は国民の健康意識の高まりを背景として成長を続け、特に平成14年頃からは複数のヒット商品もあり成長市場として注目された
  • 平成21年度には市場規模が制度発足以来初めて前年度比で減少
  • 市場環境の影響を受け、生体評価システム事業の業績も大きく落ち込んでいる
  • トクホ市場の動向が経営成績に影響を及ぼす可能性がある
  • トクホは、健康増進法、栄養改善法及び食品衛生法等の法規に基づくものであり、関連法規の改廃及び所管官庁の運用の変化等の影響を受ける可能性がある

② 評価試験事業

  • 評価試験事業の受注は食品・製薬企業等におけるトクホの新規開発が前提
  • トクホの開発が一巡したこと等を背景として、新規の開発案件が減少する傾向が続く
  • トクホを開発できるほどの開発力や資金力等のある企業の数も多いとは言えない
  • 企業の経営環境、経営方針、事業戦略、予算等の動向により、業績に影響を及ぼす可能性がある

③ 疲労プロジェクト

  • 抗疲労効果の表示許可に向けたトクホを申請済み
  • 抗疲労トクホの許可取得が目標
  • 最終的に許可が得られるかは不確実。許可が得られる場合も、審査に要する期間等が制度において決まっているものではない。
  • 抗疲労トクホの市場規模を予測することは困難

④ 研究開発

  • 研究開発には相当の費用と時間を費やすことになりますが、必ずしも事業化に成功する保証はない
  • 仮に事業化に成功した場合でも、期待どおりの収益が得られる保証はない
  • 研究開発費用が増加した場合には、業績に影響がある可能性がある

⑤ 知的財産権

  • 特許等を申請した全ての研究成果について必ずしもその権利を取得できるとは限らない
  • より優れた研究成果がほかより生まれた場合には、総医研グループの研究成果が淘汰される可能性もある

⑥ 現代表取締役社長の梶本修身氏

  • 大学及び大学研究者とのネットワークの構築や維持及び当社グループが生み出す成果物への権威付け等の点において、同氏は極めて重要な役割を果たしている
  • 同氏の業務の遂行が困難となった場合には、当社グループの事業戦略や経営成績等に重大な影響を与える可能性がある

⑦ 大学との関係

  • 国立大学の独立行政法人化の根拠法となる国立大学法人化法や、公務員である大学の研究者が適用を受ける国家公務員法、地方公務員法、人事院規則等の改廃、または関係当局の運用の変化等の影響を受ける可能性
  • 国公立大学の独立行政法人化にともない、大学が生み出す知的財産等の取り扱いの変化、研究の委託や研究成果の提供の対価についての見直し等、今後、民間企業と大学との関係に変化が生じる可能性
  • 大学との関係性の変化が業績に影響を与える可能性がある

⑧ 役職員の確保

  • 医学及び薬学等の分野での専門性の高い人材の確保が不可欠
  • 新規事業の立ち上げや推進に対応してマーケティングや営業等の幅広い人材が必要
  • 事業の多様化や拡大にともなって内部管理等の人材も充実させる必要
  • 人材の確保及び社内人材の教育が計画通りに進まない場合には業績に影響がある可能性がある

⑨ マーケティング事業

  • 健康補助食品の市販後調査事業がこれまでに前例のない事業ということもあり、期待通りの業績が計上できるかは不確実
  • 市販後調査事業については、一般社団法人大阪府内科医会及び一般社団法人日本病態情報医学会等の医師組織や学会等との契約に基づいて推進している
  • 医療機関ネットワークの拡充及び効率的運用のためのインフラ整備等を行う方針であり、そのための費用負担が発生し、期待通りの結果が得られない場合には業績に影響を及ぼす可能性がある

⑩ 化粧品事業

  • 運転資金の増加
  • 与信リスク
  • 在庫リスク
  • 海外販売については、現地の法規制や行政当局の運用、商慣習等が国内とは異なるほか、顧客の信用力等の情報収集にも限界があることから、不測の損害が発生したり、期待通りの業績が計上できない恐れがある

⑪ 健康補助食品事業

  • 運転資金の増加
  • 与信リスク
  • 在庫リスク
  • 抗疲労トクホの表示許可が得られない場合には業績に影響を与える可能性がある

⑫ 医薬臨床研究支援事業

  • 医薬臨床研究支援事業の市場規模が拡大していくものと考えている
  • 期待どおりに市場が拡大しない場合は、事業の拡大に影響を与える可能性がある
  • 他社との競合や受注環境の悪化等により、想定どおりに受託が増加しない場合には業績に影響を与える可能性がある
  • 事業基盤の強化が想定どおりに進まない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性がある
  • 医薬臨床研究支援事業は、厚生労働省が施行する「臨床研究に関する倫理指針」及び「疫学研究に関する倫理指針」等の公的ガイドラインの適用を受ける
  • 公的ガイドラインの改定または新設等により、事業運営が困難になったり、追加的なコストが必要になったりする恐れがある
  • 研究の完了が困難になった場合や他で新たな知見が発表され研究計画が変更になる場合等は、研究が中止になり契約が中途解約される可能性がある
  • 主な顧客である学会や医師組織等は、製薬・食品企業等と比べると財務基盤が脆弱。適切に顧客の信用状況の把握し、債権管理を行う方針ではあるものの顧客の信用力の低下が生じた場合には売上債権の回収が困難になる恐れ

⑬ ヘルスケアサポート事業

  • ヘルスケアサポート事業におけるサービスには、特定健康診査および特定保健指導の根拠法令である「後期高齢者の医療の確保に関する法律」、定期健康診断の根拠法令である「労働安全衛生法」等、関連法令等の適用を受けるものがある
  • 関連法令等の改廃が行われた場合には、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性がある
  • 受診は対象者の意思に依存するため、受注済の業務であっても受注高を正確に予想することは困難。結果として受診率が伸びない場合には当該事業の業績に悪影響を及ぼす

⑭ 機能性素材開発事業

  • ラクトフェリンの原料の仕入価格や機能性素材の販売価格の変動が、当該事業の業績に影響を及ぼす可能性がある
  • 為替市場の動向が当該事業の業績に影響を及ぼす可能性がある
  • ラクトフェリンの腸溶加工技術及び脂質代謝改善用途に関する特許を大手ヘルスケア企業に提供してライセンス収入を得ている
  • 大手ヘルスケア企業との取引が縮小した場合は、当該事業の業績に悪影響が生じる。また特許の有効期間が終了した場合は、ライセンス収入がなくなり、当該事業の売上高が減少する可能性がある

リスクについては、中国市場の動向による業績への影響は考えられますが、特段現状の業績を大きく左右すると考えられるようなリスクはないですね。

他社の研究成果から生まれた競合商品もリスクとは考えられますが、健康補助食品という市場の中で研究成果のみで大きく差別化できるものではないようにも感じます。

株価指標/経営指標

PER(会社予想): (連) 68.13倍
PBR(実績): (連) 4.25倍
ROE(実績): 4.3%%

簡易財務分析

BS(貸借対照表)

出典:GMOクリック証券

自己資本比率が80%を超えています。そのためかROEも4.3%と若干小さい数字です。
有利子負債も、ほぼないに等しいですね。
キャッシュも十分にあり良いバランスに思えます。

PL(損益計算書)

出典:GMOクリック証券

売上高は順調に成長していますが、利益は少し不安定なようです。
2015年に健康補助食品事業に大きく広告宣伝費を投下したことで利益がマイナスとなっていますが、そのぶんを2016年以降に回収できていると考えても良いのではないでしょうか。
利益については今後の成長に期待したいところです。

CF(キャシュフロー計算書)

出典:GMOクリック証券

営業キャッシュ・フローも2016年以降はプラスに転じています。

2017年の投資キャッシュ・フローが大きくプラスになっているのは、短期の運用目的で保有している有価証券の償還による収入によるもののようです。

営業キャッシュ・フローがマイナスの期が多いですので、有価証券の売買によってキャッシュ・フローを確保していたということでしょうか。

所感

健康補助食品事業の定期購入によるストック収入がありますので、成長が鈍化することはあっても売上高が大きく減少するというリスクはなさそうです。

利益面ではやはり広告販促費のコントロールが重要になってくるように思います。この辺りは戦略的なものも大きいのかもしれません。

中国市場への越境ECで化粧品を販売するというモデルも、中国の市場規模を考えると伸びしろは十分にあるようにも思いますし、今後も新商品の投入が続けば、まだまだ成長の可能性を見込める銘柄と考えて良いのではないでしょうか。

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