【東海カーボン】黒鉛電極の需要ひっ迫が売上高と利益の大幅な増加に貢献

企業分析

第1四半期決算短信が発表されて20日ほど経過していますが、初回の企業分析は東海カーボン株式会社です。

東海カーボンを選択した理由としましては、当四半期の前年同期比の上昇率が売上高で72.6%、営業利益で617.8%と上昇著しいことがあります。

成長株投資家としては、この売上高上昇率・営業利益上昇率が一時的なものなのか、継続的なものなのか気になるところです。

何が要因となって+617%もの利益上昇が起こったのか。理由について調べてみました。

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売上高・利益大幅増加の理由

2018年12月期第1四半期決算説明会資料から、当四半期の売上高・利益が大きく向上した理由には製品の「販売数量増加」「売価上昇」があることがわかります。

販売数量増加の要因については次の通りです。

販売数量増加の要因
  • 黒鉛電極の需要ひっ迫
  • 昨年11月より北米新拠点が連結業績に寄与

「黒鉛電極の需要ひっ迫」については後述しますが、背景には中国の環境規制があります。

また、2017年11月に北米の黒鉛電極メーカーSGL GE Carbon Holding LLCを子会社化し、連結対象としたことも寄与しています。

売価上昇の要因については次の通りです。

売価上昇の要因
  • 黒鉛電極・カーボンブラック・ファインカーボン売価改定

営業利益増加の大きな要因は、黒鉛電極・カーボンブラックの売価改訂のようです。

黒鉛電極の需要が増加が売上・利益増加に寄与

同じく決算説明会資料から、第1四半期に売上・利益が増加した理由として、黒鉛電極事業がそのほかの事業に比べても非常に好調であったためであることがわかります。


出典:v4.eir-parts.net

「黒鉛電極」とは、「鉄くずを溶かしてリサイクルする際に用いられる素材のこと」です。

東海カーボンのホームページには、黒鉛電極の説明として次のようにあります。

鉄を作る方法に「高炉方式」と「電炉方式」があるのをご存知ですか。電炉方式は、一度利用した鉄スクラップを電気炉で溶かしてリサイクルする方法。この炉の内部で鉄を溶かしているのが「黒鉛電極」です。黒鉛は熱伝導率が高く、耐熱性に優れ、衝撃にも強い素材。電気抵抗が低いので大きな電流を流し、鉄を溶かすことができます。最近はさらなる効率性を求めて高電流・大電力化しています。

鉄を溶かすための電気炉の中で使用される導電体(電気や熱を通しやすくするもの)のことですね。


出典:www.tokaicarbon.co.jp

黒鉛電極の需要が増加した背景

黒鉛電極の需要が増加した背景には、2017年に中国で「地条鋼」と呼ばれる質の悪い鋼材が一斉に取り締まられたことにあるようです。

地条鋼は正規の鉄鋼材よりも低品質ながら、製造方法が容易なことから多くの製造業者がこぞって参入し、その生産規模は日本の鉄鋼生産量に匹敵するほどに大きなものでした。

しかし、この地条鋼はもともと製造が違法であったことや、生産過程で大気汚染物質を排出するため、昨年に中国当局が取り締まりを強化。多くの業者が地条鋼の製造を停止しました。

その結果、正規の鉄鋼材への需要が高まります。

そして、正規鉄鋼メーカーでは「電炉方式」として電気炉が使用されていたために、黒鉛電極の需要が増加したということのようです。

① 地条鋼の製造取り締まり

② 正規品への需要増加

③ 正規メーカーの製造強化による黒鉛電極の需要増

中国国内の鉄鋼メーカーも生産抑制

上で見たように、正規鉄鋼メーカーへの発注が増加した背景には、地条鋼の取り締まりがありました。

一方で、中国国内の鉄鋼メーカーが当局の規制を受けて黒鉛電極の生産を抑制したことも黒鉛電極の価格高騰に影響したようです。

黒鉛電極の需要増加は今後も続くのか

黒鉛電極事業の好調が、当四半期の売上と利益を押し上げる要因でした。

また、その黒鉛電極事業の好調の背景には、中国の環境規制がありました。

そこで、「では、この先どの程度黒鉛電極の需要の増加は続くのか」というのが重要になってきます。

この点ですが、中国は自国での黒鉛電極の増産計画を発表しているほか、黒鉛電極の原材料であるニードルコークスの需給も2019年からは緩和される見通しがあるようです。

そのため、今後も日本企業の黒鉛電極事業に対する需要の増加は確実とは言い難いかもしれません。

しかし、決算説明会資料の業績目標では、下記のように黒鉛電極の需要ひっ迫が継続する見通しもあります。

  • 電炉鋼生産の世界的回復、増加
  • 中国環境規制強化による電炉鋼シフト
  • 中国ではスクラップ配合比率上昇で、高負荷操業に耐えうる高品質な電極への需要が高まる見通し

見通しが正しければ、黒鉛電極の継続的な需要増加にともなう、さらなる業績向上も見込めそうですね。

中期経営計画を1年前倒しで到達している

また一方で、東海カーボン株式会社は、2016年〜2018年の3カ年計画として掲げていた中期経営計画「売上1,100億円、営業利益90億円、ROS8%、ROIC6%」という目標値を、1年前倒しで2017年には到達しています。

先述の中国の環境規制による黒鉛電極の需要増は2017年後半からであることや、黒鉛電極メーカーと電炉メーカーの取り引きは年間契約のため、黒鉛電極の売価上昇の影響は翌期以降になることを考えると、2017年通期の時点で目標値を達成しているのは黒鉛電極の需要増が直接的な原因というよりも、経営努力が功を奏した結果と考えても良いのではないでしょうか。

2018年通期の目標ROEは30%超

2018年通期の目標ROEは30%を超えています。


出典:v4.eir-parts.net

黒鉛電極の需要増加とともに、北米新拠点を連結したことによるROE向上は評価できるのではないかと思います。

当期の業績が一時的なものであれば、ROEもいずれ低下してしまいますが・・

黒鉛電極事業以外も好調

黒鉛電極事業以外の業績予想もプラスである点も好感できますね。


出典:v4.eir-parts.net

今期の目標株価は3120円付近?

個人的に、目標株価はEPSとPERを使用して簡便的に算出しています。

PERは15倍を目標として計算してみますと次の通りです。

  • 予想純利益 46,800(百万円)
  • 発行済株式数 225(百万株)
  • 目標PER 15倍

46,800 / 225 * 15 = 3120円

今期通期の当期純利益の目標が達成される場合には、PER15倍まで保有するとして3120円付近までが目標株価かなとは思います。

ただし、上記は自己流のため、参照先の数値や計算方法に間違いがある可能性もあります。

ご参考いただく際には十分ご注意ください。

東海カーボン株式会社の会社概要

東海カーボン・グループは、炭素材料を中心とするカーボン製品の製造・販売をおこなう総合メーカー。

事業内容

黒鉛電極・カーボンブラック・ファインカーボン・工業炉および関連製品・摩擦材・負極材の製造、販売。

株価指標/経営指標

  • PER(会社予想): (連) 6.94倍
  • PBR(実績): (連) 3.72倍
  • ROE(会社予想): 34.7%

簡易財務分析

財務諸表からの雑感になります。

財務諸表の分析においては同業種との詳細な比較も必要だと思いますが、比較については別の機会に取り上げられたらと思います。

BS(貸借対照表)

出典:GMOクリック証券

直近のBSでは自己資本比率が50%以上、流動比率も100%超ですね。

有利子負債比率も10%ほどで、借入金も多くないことがわかります。

特に気になる点はないように思います。

PL(損益計算書)

出典:GMOクリック証券

グラフでは2016年度の純損失が気になりますが、中期経営計画にともなう固定資産の減損損失が主たる原因のようですので、一時的な要因と考えて良さそうです。

ほかには、やはり市況に左右されるためか、売上高が安定していないことも気になりますね。

CF(キャッシュフロー計算書)


出典:GMOクリック証券

営業キャッシュフローは安定してプラス、投資も継続的におこなっているようです。

BSの有利子負債比率と、財務キャッシュフローの推移から判断しても借入金の問題もなさそうですね。

所感

当四半期の売上や利益が急増した理由は、黒鉛電極の「需要ひっ迫」や「売価の上昇」でした。

黒鉛電極事業以外の事業も好調とはいえ、やはり黒鉛電極の需要増が今後どの程度継続するかが、次期以降の業績を大きく左右するように思います。

2018年度通期では業績向上は確実ですので、目標株価をめどに短期で保有することも考えられますが、中長期を視野に入れた場合には様子見というところでしょうか。

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